12月の給与で年末調整の結果、還付された源泉所得税が上乗せされたという方も多いのではないでしょうか。毎年11月頃になると会社から用紙を配布されて記入したり、または最近では年末調整システムを使用して行う企業も増えてきたと思います。
ところでその年末調整の各種申告書、きちんと理解して記入していますか?会計事務所では、顧問先の企業の年末調整手続きを代行することも多くあります。今日は、会計事務所スタッフが思う「年末調整あるある」をお伝えしたいと思います!
基礎控除申告書の収入見込みが0円
「収入金額」の欄ですが、ここは「見積額」を記載することになっています。つまり、大体の見込み額を書いてね、ということです。この欄で年末調整計算において基礎控除がいくらになるかが決まります。ただ、こちらの記載が空欄の方がとにかく多いです!毎月給与を受け取っているので0円ということは無いと思うのですが…。
ただ、こちらの用紙は「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書兼所得金額調整控除申告書」となっており、複数の申告書が一緒になっていて、いったい何を聞かれているのかわからないまま、空欄で出しているという方が多いのだと思います。
また、無茶苦茶に給与が高い人以外はほとんどの方が480,000円に収まるので、空欄でも0円と書いてもらっても結果に影響を及ぼさないケースが多いです。そもそもの申告書の意義がなんだかよく分からないような気もします。
配偶者や扶養親族の見込み所得額が空欄
これもかなりよくあります。名前しか書いていなくて所得額が空欄なんです。最近「103万円の壁」という言葉をよく耳にすると思いますが、配偶者や扶養親族の所得額によって受けられるかどうかが決まる控除がいろいろとあります。空欄だと再確認の手間が増えます。0円なら0円と書いてほしいんです!これを書いてくれるだけで、年末調整を担当する方のお仕事がかなりスムーズになります。
生命保険料控除その1 一般、介護、個人年金を取り違えて書いている
10月くらいになると保険会社から生命保険料控除証明書が届きますよね。
それを見ながら保険料控除申告書を書いていきます。
この保険料控除申告書、よく見ると、一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料に分かれているのご存じですか?これを取り違えて記入している方が必ず複数人いらっしゃいます。それぞれの保険料に上限額が決まっているので、間違えてしまうと本来受けられるはずだった控除が受けられない可能性もあります。
生命保険料控除その2 新制度、旧制度を取り違えて書いている
これも多い!生命保険料には、新制度というものと旧制度というものがあります。これを逆に記入してしまっているケースも多く見受けられます。
生命保険料控除その3 1年の見込み額ではなく、控除証明書が発行された時点の払い込み済額を書いている
生命保険料の控除証明書が2段に分かれて書いてあることがあるのわかるでしょうか?多くの場合、控除証明書が発行されるのは10月頃です。「10月まで払い込み済の保険料」と「12月まで予定通り保険料を払い込んだ場合の1年分の保険料」が参考値として2段に分かれて書いてあるのです。12月まで解約等せず払い込む見込みならば、後者を記載する必要があります。
これもつい、前者の方を書いてしまう、というケースがよくあります。
生命保険料控除の間違いの多くは控除証明書のフォーマットがばらばらなのも原因?
とにかく生命保険料控除は間違いが多いです!
ただ、正直一般、介護、個人年金という区別があることもよくわからないほうが普通でしょう。
そして、保険会社によって控除証明書のフォーマットが全然違う!これって統一できないんですかね・・・
フォーマットの例を引用します。
まったくの空欄で提出されてくる
これは酷いですよ。控除証明書と一緒に提出されてくるんです。よくわからないからわかるあなたが書いてよってことなんでしょうが…。会社の年末調整担当者や会計事務所の担当の方などは、代わりに記入してくれたり、「記載がされていないようですが…」と優しく連絡してきてくれると思いますが…。または、申告書は空欄だからということで、そのままスルーされて控除をしてくれない、なんてこともあるかもしれません。
期限を守らない。言ってもなかなか提出しない
多くの企業が12月または1月の給与で年末調整の結果還付または追加徴収します。給与支給日というのは絶対にマストの期限なんです。支給に向けて銀行の振込登録をしたりするから、本当の期限はさらに前倒しです。なかなか提出してくれないとこれが確定できません。
まとめ
そもそも年末調整がいったんなんなのかよくわからない人も多いでしょう。
なんかよくわかんないけど11月になると会社からよくわからない紙を4枚渡されて、なんかよくわかんないけど12月の給与がいつもより増えてる。
みたいな感覚の方も多いでしょう。私も会社勤め時代はそうでした。
簡単に言うと、毎月の給与から所得税が引かれていますよね。
これは実は仮の金額が引かれているのだと思ってください。
年末調整では、1年間の給与が確定したらあらためてその確定した金額で所得税を計算し直しているのです。
なぜ保険料などを書くのかというと、所得税の計算において、生命保険料などを払った分については所得から控除できる部分があるからです。
所得から控除ってのがまたわかりづらいですよね。たとえば年間の給与収入が400万円だったとして、この400万円に税率をかけるわけではないのです。まず、給与収入の場合は金額に応じて給与所得控除があり、給与所得を算出します。これに税率をかけるの?いやいやそうじゃありません。まだ控除できるんです。
それが基礎控除(これは一部の高所得者をのぞいて大部分の人が受けられます)や、生命保険料控除、地震保険料控除、ひとり親の人はひとり親控除など、その人の状況に応じていろいろな控除を受けることができます。この様々な控除をされたあとの金額にやっと税率をかけて税金を算出します。
このそれぞれの人に応じた状況を確認して控除できるものを控除してあらためて所得税を計算する、これが年末調整です。
そう考えると、きちんと年末調整書類を書かないと、税金を払いすぎる可能性がある気もしてきませんか?
なので!1年に1回、しっかり自分の年末調整やっていきましょう!!
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